誤った科学実験方法に注意!

2017年10月11日

弊社では小学生を中心に、お子様に教えることが多いため、

正しい実験方法や解説を行うよう、日々勉強しています。

ユーチューバーが流行っている昨今、科学実験を取り入れた動画も多くなっておりますが、

誤った実験方法で行われているものが多々あり、いつか大事故が起きるのではと危惧しています。

「良い子の皆さんは真似しないで」と注釈が入っていればまだしも、

危険な行為だとも思わずに実施している例を見かけます。

科学に疎い方ならまだ分かるのですが、「プロ」と呼ばれている方にもこういった事例が多いことに驚きます。

この場を借りて、警鐘を鳴らしたいと思います。


イベントで行われるサイエンスショーや実験教室でも同じです。

今までの経験則だけで安全だと判断して行われている節があり、

おもしろさ・インパクトを求める余り、本当はやってはならない行為が目立ちます。

また、解説が科学的に正しくない事も多いです。

正しく言うと難し過ぎるのでアバウトに言う事は弊社でもありますが、

そういう意味ではなく、プロが全く間違ったことを言っていることがあるのです。

多少の認識不足は誰でもありますが、全く科学とかけ離れている場合があり、大変悲しい気分になります。


今回はとりあえず、最近気づいた危険な実験例を2つ挙げたいと思います。


■象の歯磨き粉

弊社のサイエンスショーでもよく行う実験です。

泡が高く噴き上がるのが大変インパクトがあり面白い実験ですが、噴き上がった瞬間の泡に触れるのは大変危険です。

海外発祥の実験で、実験方法だけが広まってしまったように思います。

過酸化水素が一瞬で分解されるために噴き上がると思われているようですが、

噴き上がる理由は「突沸」で、過酸化水素の分解はもう少しゆっくりです。

(過酸化水素は分解する時に発熱します)

事実、発泡の様子が2段階あります。

ヨウ化カリウムを入れた後、しばらくはゆっくりと泡が増えていきますが、ある瞬間に一気に膨らみます。

前半は過酸化水素の分解、後半は沸騰です。

噴き上がった泡はすぐに冷えますが、濃い過酸化水素(劇物)のままである可能性があります。

決して被ってはいけません。

随分前、イッテQで内村さんらが海外に行って火傷をする様子が放映されましたが、

日本のスタジオで行っていたら、放送事故だと思います。

もし泡に触れるのであれば、十分時間を置いてから、演示者が触れるだけにとどめるべきです。

十分時間を置いたものでも、泡に触れた指に刺激を感じることがあります。

ヨウ化カリウムが上手く混じっていない部分があって、分解されていない可能性もあります(未検証)。


■液体窒素

液体窒素の取り扱いや窒息の認識が誤っているものがあります。

液体窒素を水やお湯に入れると、液体窒素が急激に沸騰し、白い煙(湯気)が大量に発生します。

この白い煙の正体は、空気中に含まれる水蒸気が液体の水に戻ったものです。

つまり窒素だけではなく、空気が混じっているので、吸っても大丈夫だと言う方がいらっしゃいます。

しかし、酸素濃度が18%を切った気体を一吸いするだけで、窒息する場合があり、酷いと意識を失います。

通常の空気の酸素濃度は21%ですので、たった3%が窒素に置き換わっただけで危険性があるのです。

観客の方が深く呼吸をした場合は特に危険ですので、吸わせることは避けた方が良いと思います。

液体窒素で凍らせた食材を食べ、胃が破裂した例もあります。

ただでさえ凍傷の危険性があり、食材は何でもよい訳ではありません。

マシュマロを液体窒素に入れて食べるのは多く行われていますが、投入時間などを考えないと危険です。

弊社ではお子様に食べさせる行為は一切行っておりません。


危険な行為が目に余るので、記載させて頂きました。


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Posted by サイエンスタイム®(旧九州サイエンスラボ) at 17:55
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